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2013年3月16日を表示

13 宇宙空間は、ほんとに曲がっているのか

宇宙の構造はコペルニクスによって天動説から地動説へと大転換し、その後アインシュタインによって飛躍的に変化しました。

それは、第一章でも触れましたように、宇宙空間が曲がっているという仮説です。そして、この仮説が、実際に確かめられる時がきました。それがハッブルの星雲の発見と観測によってもたらされたのです。

宇宙空間はほんとに曲がっていたのでしょうか。結論を述べるまえに、どのようにして実際に測定したかを考えてみましょう。

ここで使われる方法はリーマン幾何学といわれる方法です。私たちが学校でおそわった幾何学はユークリッド幾何学と呼ばれ、曲がりがゼロの平面および空間に描かれた図形のみを考えてきました。たとえば、三角形の内角の和は二直角となる、という定理がそうです。

これに対して、リーマン幾何学(非ユークリッド幾何学)は、曲がりがプラスまたはマイナスの平面や空間に描かれる図形を考えたものです。球面に、たとえば三角形を描いてみてください。内角の和は二直角よりも大きくなるという性質があります。

まえにもふれたとおり、平面状なら円の面積は半径の二乗に比例するのですが、たとえば球面(曲がりがプラス)だと半径の二乗に比例するよりも小さく、サドル型(マイナス面)だと二乗に比例するより大きくなる、という性質があります。これは、それぞれの平面を模型で作ってその上に円を描いてみれば理解できます。

この面の性質を空間にも利用して考えることのできるのはすでに5で述べました。空間の場合は、体積が面積に相当しますから、曲がりゼロの空間に描かれる球体の体積は半径の三乗に比例する。

これは、ボールの体積を出すとき用いる方法です。もし空間がプラスに曲がっているなら、体積は半径の三乗に比例するよりも小さい、曲がりがマイナスの空間なら体積は半径の三乗に比例するより大きいはずである。このリーマン幾何学の空間の性質を利用して、実際の宇宙空間が曲がっているかどうかを知ることができます。

その方法は、もうすでにみなさんも気づかれたと思いますが、実際に測定できる宇宙空間の中に、ある点(どこでもよい)を中心に球体を描いてみます。宇宙的球体です。

そして、それらの球体の体積が、半径の三乗に比例してどう変わるかを調べれば、宇宙空間の幾何学的性質がわかります。性質は、曲がり方がゼロかプラスかマイナスか、三つに一つなのです。では・・・そうです。体積はどうやって求めたらいいのでしょうか。

じつはここでハッブルの星雲の観測が役にたってくるのです。現在の宇宙の観測された事実によると、星雲は一様の密度で分布し、星雲の間の距離は二百万光年ですから、この事実が宇宙全体にあてはまるとすると描いた球内に存在する星雲の数に球の体積は比例するはずです。だから体積がおおきくなるほど星雲の数もふえる。このあたりは天文学者が精度たかくやっていますのでミスは少ないと思っていい。

たとえば、地球を中心に半径一億光年の球を描き、そのなかに存在する星雲の数を実測する。そして、もうひとつ三億光年の球体を描き、同じように星の数を実測する。

もし、宇宙空間が曲がっていない場合、すなわち曲がりゼロだと星雲の数は三億光年の球が一億光年の球の半径の三乗倍、すなわち二十七倍となるはずです。もし、空間がマイナスに曲がっていれば二十七倍以下(小さくなる。)

アインシュタインは、宇宙空間は、プラスに曲がった空間だと言いました。

そろそろ結論を言いましょう。この方法によって実際に宇宙空間を調べた結果、じつはアインシュタインの宇宙論に反して、曲がりがゼロかまたは、ほんの少しマイナスであるらしい、ということになりました。ではアインシュタインの宇宙論は誤りなのでしょうか。そうではありません。観測できる宇宙のスケールの大きさを考えてください。

観測できる宇宙がそのすべてではないのです。ずっとむこうは・・・?

                             四次元99の謎 関英男



3月16日(土)05:21 | トラックバック(0) | コメント(0) | 関英男博士 | 管理


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