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2013年3月15日を表示

12 エドウィン・ハッブルの宇宙探検

大宇宙のスケールをもう少し具体的に考えてみましょう。

大ざっぱに言って、光の速度で距離をはかって、地球から月までの片道は約一.二八秒、地球から太陽までの片道は約八分。

こんどは太陽を中心に考えて、太陽系のいちばん端の冥王星と太陽の距離は約五時間半、銀河系の端から端までの距離は十万光年、太陽系は銀河系の中心から約三万光年ずれた位置にあって中心のまわりをまわっています。銀河系と別の銀河系とされているアンドロメダ星雲までは百九十万光年。そして、いま地球上から観測できる宇宙のスケールは約五十億光年なのです。

五十億光年の距離といってもピンときませんが、こう考えてみると実感がわくのではないでしょうか。いま五十億光年のかなたの星Aを望遠鏡で発見した。しかし、よくかんがえてみれば星Aを出発した光が五十億年後の今、地球に届いたということで、その星について明らかになることはすべて五十億年の昔のことがらなのだということになり、じつに巨大な距離と大きなスケールの時間を私たちはイメージしなくてはなりません。

光速は、一秒間に地球を七週半もするほどですから、地球上では"同時"ていう感じで経験されますが、宇宙では時間も問題となってきます。

さて、一九二四年に、アメリカの天文学者のエドウィン・ハップルは、カリフォルニアのウィルソン山天文台で観測しているとき、銀河系の外の広大な宇宙空間に、数えきれないくらい多くの銀河系と同種類の星の集団が存在していることを発見しました。

これらの星の集団はそれまでは、ガスの固まりだと信じられていました。が、その後のかれの観測と研究によって、大宇宙の構造は次のように記述されるようになりました。

銀河系に近い宇宙空間では、星雲はだいたい同じ密度で分布しており、それらの星雲間の距離は平均して約二百万光年である。そして、星雲の数は、世界最大のアメリカのパロマ山天文台の二百インチ反射望遠鏡で見える範囲だけでも一千億個もある。

ひとつの星雲にはやはり一千億個の太陽があるのだから、宇宙全体の星の数は惑星も含めれば背気が遠くなるほどの数になる。

この新しい宇宙像は、それまで漠然と考えられていた宇宙に、かなりはっきりとしたイメージを与えることになりました。

これはたとえば、全宇宙にはこんなに数多くの星があるのだから、われわれ人類のような知性を持つ動物が、この地球にしかいないというのは人間のごうまんな思いあがりだ、銀河系一千億個の太陽、いや一千億の一千億倍の大宇宙の星のなかには人類と同等、あるいはそれ以上に進化した生命体のいる天体がいくつもあると考える方が自然だ、という議論などがその代表といえるでしょう。

宇宙に生命がいるかどうかについては後で考えますので、この話はこれでストップしますが、ともかく経験的世界に閉じ込められていた人間の想像力を、大宇宙の空間と時間に向かって、いっきょに解き放った効果は大きかった。そして、このハッブルの発見は、現代物理学の世界にも重要な問題を投げかけました。

それをつぎに考えてみましょう。

                            四次元99の謎 関英男



3月15日(金)05:11 | トラックバック(0) | コメント(0) | 関英男博士 | 管理


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