お日さまとお月さま
 
幸せな地球さんを見ました 
 


「手塚先生は今も私たちの太陽です」

手塚治虫「鉄の旋律」  水野英子[解説より] 秋田書店


私は本当に先生があの「ファウスト」や「リボンの騎士」で描かれたような天国で可愛い天使たちに囲まれて、にこやかに机に向かっていらっしゃると思うのです。

そこでは〆切りの苦しさも眠気との戦いもなく、身も心もペンも軽く思い通りのお作が出来上がっていくのです。
仕上がった原稿は天使たちが運び、神様たちが満足げにご覧になる・・・・・本当にそう思うのです。

その昔、私が初めて先生の漫画に出会った時のショックをどう言い表したら良いでしょう。
そこには、絢爛たるファンタスティックワールドが広がっていたのです。

町中の本屋さんを駆け巡り、一冊も見逃すまいとするのがあの頃の私の日課でした。
やっと買い求めた本を、家に持ち帰るのももどかしく、読みながら歩いているうちに夢中になって家の前を通り過ぎてしまった事。

親が死んでも泣かなかった私が、「ジャングル大帝」のラストシーンではもう何も見えなくなるくらいグショグショに泣いてしまった事・・・・・手塚先生は正に私たちの太陽だったのです。

先生の作風が次第に人生の深淵をのぞき見るような深刻な内容に変わっていったことが、今までの明るい作風になじんでいた私に違和感を与えたのです。でも、今あらためてお作を拝見して思うのです。
これは、かの昔、私たち子供の心を魅了した深い人生観とメッセージが、もっと成長し昇華された形をとって現われたのだと。

かの頃の先生は、燦然と輝く太陽でいらしたけれど、これは金環蝕のフレアの強烈な輝きなのだと。
先生は、やはり私たちの太陽であり続けるのです。

人が亡くなるという事は、単にお会いできなくなったにすぎないのです。

先生は、今もにこやかな笑顔で私たちの中に住み続けておられます。いつまでもお元気で!



Oct.1(Sun)07:00 | Trackback(0) | Comment(0) | まんが | Admin

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