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71 反粒子、反物質がついに発見された!

イギリスの物理学者ディラックは千九百二十八年に電子の運動を完全に記述する相対論波動方程式を考え出しました。それは(↑図)というものです。

現代物理学ではこのような数式をやたらと使って、新しいアィディアの創出に励んでいるということくらいは知っておいてもいいのではないでしょうか。

ところで、この方程式を解くと、奇妙なことに電子のエネルギーには プラスとマイナスの二つがあるということになりました。

原子核のところで述べましたように電子のエネルギーはすべてプラスとされています。

これは電気的な性質のプラスとマイナスではないので勘違いしないでください。私たちの世界にある電子のエネルギーはすべてプラス(正電子)だけと考えられていました。

じつは、数学上の計算で粒子のエネルギーにプラス(正)とマイナス(反)の二つの解があることは、アインシュタインの粒子のエネルギーを計算する方程式でも知られていましたが、多くの物理学者は、正と反の二つの解が出てくるのは方程式が完全でないためだと言い、マイナス(反)の解に特別の意味はないと考えていました。

ところが、当時二十八歳のディラックは このマイナスの電子について、全く新しい物理学的意味を考え出し、つぎのように結論したのです。

「宇宙の真理は、マイナスのエネルギーの電子で完全にいっぱいになっている。しかし、真空はプラスのエネルギーの電子では満たすことができない。そして私たち人間の知ることのできる電子はプラスのエネルギーの電子だけである。」

これは、私たちの知ることのできない反物質の世界の存在を予言した驚くべき考えなのです。

電子だけでなくあらゆる素粒子に反素粒子があるとします。

それらの反素粒子でできた反物質。たとえば釘でもいいでしょう。その"反"釘をカナヅチで板に打ったらどうなるでしょうか。板に打ちつけられるのではなく、強く打てば打つほどとび出してくるのです。

ディラックの理論はこういうことになるのですが、それはなにを意味するのでしょうか。

真空がマイナスのエネルギーの電子で満たされているとすると、その中の一つをプラスのエネルギーの電子に変えることができるはずです。

それには高エネルギーのガンマー線で照らし、マイナスの電子にエネルギーを注ぎ込むといい。ディラックはこう考えました。

つまり、真空中にガンマー線を照射すれば電子がとび出してくるはずだと考え実験した結果、正しかったのです。

これは千九百三十二年、アンダーソンによって発見され陽電子と命名されました。

マイナスエネルギー電子がとび出してプラスエネルギーの電子となり、マイナスエネルギーの電子のあった真空中には脱けがらができ、その脱けがらがわれわれからみると、陽電子になるのです。

                                        四次元99の謎 関英男



5月13日(月)07:34 | トラックバック(0) | コメント(0) | 関英男博士 | 管理

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