49 ロケット内の人間は、ほんとに長生きしたのか |
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| さて、すこしリラックスして、クイズめいたことを考えてみましょう。
宇宙空間に準光速ロケットでとび出して、ロケット内の時間で数年間飛んで、地球に帰ってくれば、それは地球上の数千年、数万年に相当すると41,48で述べました。
それでは、この今様浦島太郎の話を利用したAという男が、ともかく百科事典的な知識を身につけたい、そして長生きしたいという野望をもって準光速ロケットに乗って出発したとします。そして、地球上の時間で三百年間に相当する間ロケットにこもり、ありとあらゆる書物を読んだとしましょう。
もちろん人間の知識や教養は時間の長さに比例して深まるものではありませんがここでは一応、長いあいだ勉強すればそれだけ知識が増えるということにして考えます。
さてAさんが地球に帰ってきたら、アインシュタイン博士も及ばないような知識人となっているでしょうか。答えはノーです。Aさんが、ほかの友人たちより長生きすることは確かにできます。しかし、三百年間分の知識を身につけることはできません。
これは、特殊相対性理論と一般相対性理論を知っている私たちには容易にわかることです。つまり、地球上で測定した三百年は、ロケット内の時間にすればほんのわずか、たとえば一年分くらいにしかすぎないからです。時間の経過がのろいとうのはロケット内ではまったくわからないことなので、その人が地球上にもどって初めて知ることなのです。
だから、Aさんが地球上の三百年に相当する時間を飛べる準光速ロケットを金にまかせて買って、それに乗って飛んで帰ってきたとしても、かれにしてみればたった一年しか経ていない。まだソクラテス全集を読み終えるか終えないくらいの時間しかなく、とてもアインシュタインの相対性理論までは読み進んでいない。
一年しかたっていないのだから、もちろん生理現象も新陳代謝も一年分しかない。だから長生きといっても三百年分の呼吸をして長生きしたのではない。かれは一年しかまだ生きていないのです。
四次元99の謎 関英男
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4月21日(日)18:11 | トラックバック(0) | コメント(0) | 関英男博士 | 管理
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