24 光が波であるという信念は敗れた |
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| 光は波でしょうか。粒子でしょうか。
いきなり妙な質問をするようですが、これまで光は波であると信じられていました。光は直進するが、その姿は波動であると考えられていました。ところが、この疑問に挑んだのが、かのアインシュタイン博士だったのです。それには、ひとつのきっかけがありました。千八百八十八年ハルワックスという人が、光を波と考えたのではどうしてもおかしいある現象を発見したのです。
良導体の金属の内部には、自由に動く多くの電子があります。この電子は自由電子、電子ガスと呼ばれている。この金属に光を照射すると、金属内の表面にある電子ガスが光のエネルギーを得て、金属の外へとび出してくる現象があり、これを光電効果と読んでいます。
光が波であるとするなら、波のエネルギーは振幅の大きい波ほど大きいという性質がある。すなわち明るい光ほど振幅が大きいはずで、エネルギーは大きい。では波である光が電子ガスの一つに当たれば、電子は波間にただよう小舟のように金属からとび出していることになる。明るい光を当てれば当てるほど強いエネルギーでとび出してくることになります。
ハルワックスはこう考えて実験をしてみたのですが、結果はまったくちがっていたのです。つまり明るい光をあてても、暗い光をあててもも光のエネルギーとはまったく無関係に電子はとび出してきたわけです。明るい光だからといって、電子のエネルギーは大きくならなかった。
この光電効果についてアインシュタインは千九百五年に、論文を発表し、光は粒子であると主張したのです。これは、アインシュタインの光子説と呼ばれています。
アインシュタインによると光のエネルギーは、多数の固まりとして飛んでおり、その光のエネルギーの固まりをかれは光量子(光子)と呼びました。
つまり、光の明るさとは、光の中の光子の数に比例して大きくなるということになります。光子説で光電効果を説明すれば、光電効果は、エネルギーを電子に与えてそこで消滅。そして、電子は光子のエネルギーを受けて金属の中からとび出す。だから、明るい光を当てれば当てるほど多数の光子が電子にぶち当たり、とび出してくる電子の数はふえるが、一つ一つの電子のエネルギーとは関係がない。こうなるわけです。どんなに明るい光を当ててもエネルギーが小さければ、一個の電子もでてきません。
私たちの感覚できる光の中には、無数の光子がある。一つの光子のエネルギーはとても小さいものですが、数が少なくとも三個以上であれば私たちは感覚でとらえることができるわけです。このエネルギーは光の波長と関係をもっています。
アインシュタインは、有名な相対性理論ではなくて、この光電子説で千九百二十一年にノーベル物理学賞をうけました。
四次元99の謎 関英男
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3月27日(水)06:02 | トラックバック(0) | コメント(0) | 関英男博士 | 管理
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