お日さまとお月さま
 
幸せな地球さんを見ました 
 


りんのショートストーリー より

http://rin-ohanasi.blog.so-net.ne.jp/2016-01-06

天使のお年玉 [ファンタジー]

あけましておめでとうございます。

お正月だけど、なんだか暖かいわね。まるで春だわ。
…と思ったら、空から白いものがふわりと落ちてきた。
え?まさか雪?
手のひらにのせても溶けない。
とても甘い匂いがする。おいしそう。
口に入れたら舌の上でほろりと溶けて、何とも言えない上品な甘さが広がった。
「おいしい。もっと食べたい」
上を見たら、羽根のある小さな生き物がしくしく泣いている。

「もしかして天使?なぜ泣いているの?」
「神様からもらったお年玉を落としちゃったんだ」
「どんなお年玉?」
「ふわふわした甘いキャンディだよ。知らない?」
「さ…さあ?知らないわ」
困った。まさか食べちゃったなんて言えない。

「神様に、もうひとつもらえばいいじゃない」
「だめだよ。お年玉はひとり一個だもん」
「神様なのに意外とケチね。お年玉がアメ玉一個なんて」
「ただのキャンディじゃないもん。食べたら願いが叶うキャンディだもん」
「え?そうなの?」
「世界平和を願おうと思ったのに」

正月早々縁起がいいわ。
だって食べた私の願い事が叶うってことでしょ。
世界平和も大切だけど、やっぱり彼氏が欲しいな。
それとも、一生贅沢できるお金にしようか。
ゲットし損ねたブランドの福袋も捨てがたい。
「ねえ天使さん、もしもキャンディを食べたとしたら、どうやって願いを叶えるの?」
「願い事を3回唱えるの。大きな声でね。まさか君、食べたの?」
「ま、まさか。興味本位で聞いただけよ。雪みたいなキャンディなんか知らないわ」
「雪みたいなキャンディなんて言ってないけど。あやしいな」
ヤバい。逃げよう。

「待ってよ。ねえ、本当に食べてない?ぼくのキャンディ」
「知らないってば」
「ねえ、食べたなら世界平和って3回唱えてよ。たのむよ」
「いやよ。だって私、欲しいものがいっぱいあるんだもん」
「やっぱり食べたんだ。ねえ、変なお願いしないでよ。神様に怒られちゃう」
ああ、もうウザい!このちび天使、追い返そう。

「あの、天使さん、私忙しいからもう帰って」
「え?」
「もう帰って」
「え?」
「もう帰って!」
あっ、消えた。さて、じゃあ、願い事を…はっ、しまった。
「帰れ」って3回唱えちゃった!

『やれやれ。人間は欲深いな。あ、そこのあなた。もしも白くてふわふわした雪みたいな甘いキャンディが落ちて来たら、世界平和を願ってね』


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1月11日(月)09:38 | トラックバック(0) | コメント(0) | りんのショートストーリーより | 管理

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