りんのショートストーリーより |
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| 新緑・ドライブデート [男と女ストーリー]
テツオからドライブに誘われたの。運転免許取り立てなのよ。 「最初に乗せるのはリカだと決めていた」 って、テツオは言ったけど、それって喜んでいいのかしら。 医師免許を取ったばかりの医者に、「最初に手術するのはキミに決めてた」と言われるのと同じじゃない? 怖い、怖いわ。
シルバーのカローラ。お父さんのお下がりだって。 この車が似合う若者は、世界中にテツオの他にいないわ、きっと。 左前のバンパーに傷があるけど、もうこすったのかしら。 怖い、怖い。安全な後部座席に乗りましょう。
「おまたせ。あれ?後ろに乗るの?すごい荷物だけど、どうしたの?」 「親に見られたら困るものを全部持ってきたの」 「え?なんで?」 「もしもこの車がどこかにぶつかって炎上したら、私もろとも燃えてなくなるように」 「嫌なこと言うなあ。縁起でもない」
テツオの運転は、紅葉マークのおじいちゃんみたいに慎重だ。 もともと石橋を叩いて渡るタイプなの。ワイルドさに欠けるのよね。 もっともテツオが「一緒に風になろうぜ」なんてワイルドなセリフを放ったら、その時点で後頭部をひっぱたくわ。 それにしても退屈ね。 「テツオ見て、ツツジがきれいだわ」 とか言っても返事してくれない。テツオは前しか見ていないんだもの。
「ねえテツオ、後ろの車がクラクションを鳴らしてるわ。早く曲ったら?」 「右折は苦手なんだ」 今曲れたのに…。下手くそだな。先が思いやられるわ。 「はあ、やっと曲れた。あとはまっすぐだから大丈夫だよ。あっ!!」 「どうしたの?」 「車線がなくなった。車線変更しなきゃ」 「すれば」 「車線変更は右折より苦手だ」 後ろの車が楽々車線を変えるのに、テツオはいつまでもモタモタしてる。 どこまでも下手なやつ。仕方ないなあ。 こういうときは窓を開けて、白いハンカチを振るのよ。「お願い、止まって」 ほら止まった。 「はあ、やっと入れた。ありがとうリカ」 「白い布を掲げれば、戦争だって防げるわ」
車は、森の中の美術館に着いた。私が行きたいと言っていた場所。 連れてきてくれたのね。 おしゃれな建物に、ステキな絵がたくさんあるの。早く入りたい。 早く入りたいのに、いったいいつまで車庫入れしてるのよ。 「ちょっとくらいはみだしてもいいんじゃない?」 だめだ。必死過ぎて聞こえてない。陽が暮れちゃうわ。
やっと完了。かなり曲っているけど、ぜったい言わないわ。 これ以上時間をロスしたくないもん。 車を降りたテツオは、ふうっと息を吐いてやっと笑った。 あたしはテツオの手をぎゅっと握った。すごい汗。 「緊張したのね。テツオって、ヘビににらまれた小動物みたいに臆病なのね」 「ひどいなあ。もっと優しいこと言えない?」 「言えるけど言わないの。だって相手がテツオだから」 「その荷物、持っていくの?美術館が炎上することはないと思うけど」 「炎上したら困るわ。だってこれ、お弁当だもの」 「え?お弁当作ってくれたの?」 「そうよ。私、初めてのドライブにはお弁当を作ると決めていたの。前世からね」
テツオは、青々とした葉からこぼれる5月の陽ざしを眩しそうに見上げた。 まるで、今やっと最高のドライブ日和だってことに気づいたみたい。 運転は最高に下手だったけど、頑張ったご褒美よ。 帰りは助手席に乗ってあげるわ。
http://rin-ohanasi.blog.so-net.ne.jp/2014-05-20
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iフォンでSiri
音声でメールができる。 音声で英会話ができる。 これ 知りませんでした。 娘も最近知ったとかで 昨日 iフォンのSiriで遊んでました。
娘が"I want to rich."(金持ちになりたい)とかなんとか 言ったら 意味わからん(英語で答えてる) と言われて
それならと"I want money."と言ったら ATMを探します。(ATMなんとか・・)と答えたですと。
そのまんまじゃん。 (^.^)
ひと昔前に PCは キーを打たなくても 画面をタッチすれば いいとか、音声で メールが打てるとか聞いたことはありましたが もう 実現してるんだ。
これからもっと 進歩のスピード、速まりますね。 3Dプリンターだって 昔は夢物語でした。
そういう世界にいるんですね。長生きはするもんだ。 もっと見たいです。灰になっても見るぞ。 それは もちろん 幸せな地球さんです。 (^.^)
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5月22日(木)06:16 | トラックバック(0) | コメント(0) | その他 | 管理
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