りんのショートストーリーより |
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| お役に立ちたい [コメディー]
どうも…、わたし、財布の中の5円玉です。 お正月にあなたの財布に入った、りぼん付の5円玉です。 そうそう、お金にご縁がありますようにって。
あの~、わたし、お役に立っているでしょうか。 どうも見ていると、あなたお金に全く縁がないようで…。 えーと、誰だっけ、人の上に人を作らない人…あ、そうそう、福沢諭吉さん。 あなたの財布で滅多にお会いすることがないんですけど、大丈夫ですか?
しかも今日は、確か黄熱病の研究をした偉い人…そうだ、野口英世さんが2人しかいないじゃないですか。 あとはわたしと同じ部屋にいる小銭たち。 出入りが多いから、なかなか親しくなれないんですよね。
それにしても、お給料日まであと3日ですよ。 どうするつもりなんですか?
本来ならわたしの力で何とかしなければいけないのでしょうね。 そのためにここにいるんですから。 だけどすみません。わたし、どうやらお役にたてません。
あ、そんなに買って大丈夫ですか? その缶チューハイは、今日はやめておいた方が…。 そうですか。買いますか。風呂上りに飲むと美味しいですもんね。
商品がレジを通るピッピッって音、わたし結構好きなんですよ。 小銭たちもね、自分たちが使われるかどうか、ドキドキしながら聞いているんですよ。
「2,347円です」
あ、ほら、言わんこっちゃない。 お金足りないじゃないですか。どうするんですか? ちょうど5円足りませんよ。
ん?あれ?なに? ああ…そういうことですか。 わたしを支払いに使うんですね。 ええ、ええ、わたしもれっきとした小銭ですからね。
さようなら。やっぱりあなたとはご縁がなかったようで。 だけど嬉しいです。 やっとお役に立てました。
私の財布に入っているもの。 (鎌倉銭洗い弁天の御浄銭・カエル・鯛) 諭吉さんを連れてきておくれ^^
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2月26日(水)07:47 | トラックバック(0) | コメント(0) | レジャー・旅行 | 管理
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