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28 電子は見ただけで、どこかへ飛んでいく

物質世界の究極にはなにがあるのか。もうすこし探検を続けてみましょう。この大自然の本質とはいったいなにか。核外電子は、なぜ幽霊のように飛んでいるのでしょうか。

現代物理学はこの謎にきちんと答えられます。そしてそれが、自然の本質と深いつながりがあるということも発見しています。それを考えてみましょう。

電子は極端に言えば、いま東京駅にいて同時にスイスのチューリッヒにもいることができる。その確率はきわめて少ないけれども、同じ電子が同時にスイスと東京にいる可能性がゼロではありません。素粒子のこのような奇妙な現象は私たちの常識ではとても考えられない。

これはじつは、自然の本質と深い関係があるのです。自然の本質とはどんなものでしょうか。それを説明したのがドイツの物理学者のハイゼルベルグが考えた「不確定性理論」だったのです。

これは一口に言えば、物体の位置と速度を同時に、正確に測定できるというニュートン力学の考え方は誤っている。自然の性質は、物体の位置と速度を同時に正確に測定できないというところにある。したがって、物体の運動の未来は、だれにも予知できない。すなわち、"不確定"だということを説いたものです。

しかし、これは、超感覚的に小さな素粒子の世界、それもとくに小さい電子などにいちじるしく影響するだけで、人間の感覚できる大きさの世界、ボールなどでは不確定性が問題になるほど大きな影響は出ない。

私たちが物体を観察するということは、物体になんらかの力がはたらいている状態を知るということで、たとえば走っている新幹線を見るということは、その新幹線に、光子が当たって反射している状態を見ているわけです。物体に光子が当たればその物体の運動は乱れるのが普通です。

つまり、どんな物体でも観察することは運動を乱すことにつながり、だからその運動の未来を予測することはできない。

もちろんボールのように大きな物体に光子が当たったくらいでは、ボールの速度は変化しないので、それがどこへ飛んでいくか私たちは正確に知ることはできますが、たとえばゆっくり飛んでいる電子に私たちの眼から出た光子が当たれば、電子の速度はめちゃくちゃになるのです。

つまり、電子を観察したとたん、電子のそれ以降の位置は予知できない、つまり不確定となるわけです。

わかりやすい例をとりますと、たとえば心を考えるとき、自分の心を離れて心を考えなければ一般性が得られない、かといって自分の心を消してしまったら心はわからなくなるという性質があります。これが不確定性ということです。

では、電子の位置と速度を私たちは測定できないのでしょうか。あきらめたほうがいいのでしょうか。そうではありません。ハイゼルベルグは、この自然の性質をとらえて、私たちがこれ以上正確に知ることのできないという限界を見つけ出してきたのです。それを次に述べましょう。

                                四次元99の謎 関英男



3月31日(日)06:23 | トラックバック(0) | コメント(0) | 関英男博士 | 管理

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