お日さまとお月さま
 
幸せな地球さんを見ました 
 


18 星の誕生の秘密を明らかにすると・・・

宇宙の発生については、膨張宇宙のアイディアにもとづいて、可能なイメージが浮かんできました。それでは、話をもっと具体的で科学的なものとするため、星の誕生について考えてみましょう。星の誕生と死滅は、観測できる宇宙空間で、現在もたえまなく起こっています。

すでに述べたように、アルフェン、ベーテ、ガモフのαβγ説によれば、原子宇宙における物質はすべて、極端な高温高密度の中性子でした。しかし、故林忠四郎博士は一九五十年これに修正を加えたので、現在では純粋な中性子ガスはありえないことになって、これは「α-β-γ-林の理論」といわれます。

すなわち膨張開始三十分後の宇宙は軽元素を生ずるくらいの比較的低い熱核反応の臨界温度に下がり、そこには光以外の二種類の素粒子が渦巻いていました。それは、電子と陽子なのです。この電子と陽子は、電気的引力で互いに引っ張り合い、質量の軽い電子が、質量の重い陽子の周囲をとびまわり始めた。つまり月と地球の関係と同じように考えればいいでしょう。

電子は陽子に縛られた形になり、最も軽い水素原子が形成されました。こうして宇宙に最初の原子が誕生し、やがて宇宙の冷却とともに、水素原子が結合し、水素分子ができる。そして無数の水素原子と水素分子がガス状で、宇宙空間にぽつん、ぽつんとただよい始めたのです。

このぽつん、ぽつんの水素ガスの雲は、周囲にある水素原子をつぎつぎに吸収し密度がどんどん高くなっていく。やがて密度の高くなった水素ガスの雲は、自分の万有引力で、体積を収縮し始め、やがて固まりの中心はガス状でありながら、鉛よりも密度の高いものになります。密度の高いものは、温度が上昇し、やがて一千万度以上となります。地球の中心部も密度が高いので、燃えていることを思い出してください。

これが、星の誕生の第一歩の大まかな姿といえるでしょう。一千万度以上の高温の状態では、水素原子はものすごい速度で運動するという性質をもっています。そこでは、水素原子どうしがぼんぼんと衝突し、それはやがて四個の水素原子核を一つの原子核に融合させて、ヘリウム原子核をつくる。

この現象は、ふつう核融合反応と呼ばれ、この現象が起こるとき、とてつもない大きなエネルギーが生まれます。水爆が、この核融合反応を利用したものであることを知れば、そのエネルギーの巨大さが想像できるでしょう。核融合反応までたどりついたとき、大宇宙に星がひとつ誕生し、光を出し始めるのです。星に命の火がともされました。

太陽や星が五十億年もの間、たえることなく輝き続ける秘密は、じつは長い間謎でした。しかし、人類の叡智が核融合反応の発見にたどりついたとき、なるほどと初めて理解できたのです。太陽の表面温度は観測の結果から推定すると約六千度、中心部分の温度を計算すると千九百万度、大部分の星もほぼ同じでしょう。この温度は核融合に十分な温度で、太陽や他の星のとてつもなく大きなエネルギー源が核融合反応だと考えてよいでしょう。

四次元99の謎 関英男



3月21日(木)06:14 | トラックバック(0) | コメント(0) | 関英男博士 | 管理

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