ゆづの恩返し |
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| http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2014/02/26/kiji/K20140226007667280.html
東北人といえば 宮沢賢治のお母さんは
「ひとというものは、ひとのために何かしてあげるためにうまれてきたのス」
と 賢治に話して聞かせたことは有名ですよね。
http://www.tosou-akaogi.jp/article/13537753.html
賢治の家は仏教(浄土真宗)で賢治は青年期からは法華経ですね。 キリスト教の宗派も300はあるというし 仏教も種類が多いですね。
誰かの役にたてたと思ったときが人はいちばんうれしくて 心の光が輝いているような気がします。
りんのショートストーリーより
つるのしかえし [名作パロディー] http://rin-ohanasi.blog.so-net.ne.jp/archive/200912-1
私は鶴。気高く美しい鳥よ。 最近ちまたでは、鳩が政権をとったなんて騒いでいるけど、笑わせないで。 日本でいちばんえらいのは鳩なんかじゃないわ。 この私、鶴よ。
ほら今日も、鴨が私を頼ってやってきたわ。 ああ忙しい。いったい何の用かしら。
「鶴さん、聞いてください。僕の友達が人間にいじめられて、背中に矢がささったまま泳いでいるんですよ」
「まあ、それはかわいそう。ひどいことをするのね」 「鶴さん、どうかお願いです。ひどい人間にしかえしをして下さい」 「しかえしって言われても、どうすればいいの?」 「ほら、昔話にあるじゃないですか。鶴が人間に姿を変えてしかえしをする話」 「それは恩返しでしょう。ぜんぜん違うわ」
「でも、人間に化けることが出来れば、しかえしも出来るんじゃないですか?」 「そうねえ。じゃあちょっとやってみようかな」
私は山にこもっている鶴の仙人に化け方を教えてもらった。 どこからどうみても人間だ。すばらしい。
「わあ、鶴さん、よく化けましたね。バッチリです。 ただ、その白い着物はどうでしょう。今時そんなの着ている人はいませんよ」 「そうなの?じゃあどうすればいいの?」 「洋服を買うんですよ」
「買う?買うって何?それどうすればいいの?」 「鶴さん、やっぱり世間知らずだな。お金で買うんですよ」 「お金?それどこにあるの?」
「さあ…」 その時通りがかりのすずめが、「自動販売機の下に落ちているよ」と教えてくれた。
「ほらあそこに自動販売機があるよ」 私は腹ばいになって自動販売機の下を探った。
「あったわ」
「本当だ。鶴さんすごいや」 すると、またすずめがやってきて
「ああ、それは10円ですね。もっと銀色に輝くお金の方が価値があるのに」と肩をすくめた。
私は再び探した。「あったわ。今度は銀色よ」 「ああ、残念だ。それは1円です。それじゃあ洋服どころか飴玉ひとつ買えませんよ」
がっかりして立ちすくむ私に、ジュースを買いに来た男が話しかけてきた。
「君、そんな格好で何してるの?もしかしてお化け屋敷のバイトの人?」
「バイト??バイトって何ですか?」
「バイトっていうのは、働いてお金もらうことだけど。君、変わってるね」
男は、関わりあいになると面倒だと思ったのか、そそくさと帰って行った。
「聞いた?バイトっていうのをすれば、お金がもらえるんですって」
「お化け屋敷がどうのって言ってましたよ」
「じゃあ、行ってみましょう」
私たちは、お化け屋敷にやってきた。 お化け屋敷の主人は、ひとめで私を気に入り、早速仕事をくれた。 それは、暗闇で立っているだけという、ずいぶん簡単な仕事だった。 ただ立っているだけなのに、人間達はきゃーきゃー騒いで通り過ぎていく。 何がそんなに楽しいのかしら。
仕事が終わると、お化け屋敷の主人は、「ごくろうさん」と言って、お札を2枚くれた。
「君のおかげで大盛況だったよ。よかったら明日も来てよ」
私は、この程度でお金がもらえるなら人間も楽だな、と思いながら、鴨を連れて、街に繰り出した。
「やっぱり街はいいわね。すてきなお洋服もいっぱいあるわ。ねえ、このお店なんかどう?素敵ね。なんて読むのかしら。英語は苦手よ。ええと… CANEL?まあ、とりあえず入ってみましょう」
お店の中は、とても素敵なバッグや洋服が並んでいた。 私は店員に話しかけた。
「お洋服が欲しいんだけど」
店員は怪訝そうに私を眺め「失礼ですけど、ご予算はおいくらですか」と聞いてきた。 私は、さっきもらったお札2枚を出して見せた。 店員は困った顔をした。
「すみません。当店では2千円で買える洋服は扱ってないんです。こちらのハンドタオルでしたら買えますけど」
「タオルなんか要らないわよ。温泉に行くわけじゃないんだから」
店員が思わずプッと吹き出すと、店内にいた客もどっと笑った。
「何笑っているの?人間の笑いのつぼはわからないわ」
私は頭に来て店を出た。
つづく
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3月1日(土)05:33 | トラックバック(0) | コメント(0) | レジャー・旅行 | 管理
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つるのしかえし |
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| 「もう洋服を買うのはやめるわ。それよりお腹がすいた」
辺りはすっかり暗くなってきた。 私はふらふらと歩きながら、いつの間にか川沿いの土手に来ていた。
「ああ、生魚食いてえ」
「だめですよ、鶴さん。今は人間なんだから」
「ああ、虫食いてえ」
「しっかりしてくださいよ。鶴さん」
私は空腹に耐えられず、そばにあった柳の木にもたれかかった。 その時近くを歩いていたカップルが、私を見て「ギャ~」と叫び走って行った。
「なんなの、いったい?」
「お化け…。そうだ、あの人達、鶴さんをお化けだと思ったんですよ」
「なにを失礼な」
「いや、鶴さん、これは使えますよ。いいこと考えました」
「なに?」
「僕らの仲間をひどいめに合わせたやつを、脅かすんですよ。やつらはもうじきあの湖にやってきます。そこを待ち伏せして、今みたいに脅かせばいいんですよ」
私たちは湖にやってきた。鴨や白鳥が静かに水面に浮いている。 こんなにおとなしい鳥たちを苛めるなんて許せない。 だけど私は、そんな正義感よりも、空腹感を我慢できずにいた。
「ああ、生魚食いてえ…」
呟くと、湖で魚がぴょんと跳ねるのが見えた。
「もう我慢できない」
私はなりふり構わず湖に入り、魚を捕まえた。
「あ、鶴さん、やつらが来ましたよ。バットとかエアガンとか持ってますよ。やばいよ。今日もやられちゃうよ。鶴さん、あれ?鶴さん、どこですか~?」
私は夢中で魚を捕っていた。 そして捕まえた。…とその時、懐中電灯の灯りが私を照らした。
「何やってるんだ?お前」
振り返った私の口には、生々しい魚がバタバタと最後の抵抗をしていた。 髪はみだれ、血走った目が男たちをにらみつけた。
「うぎゃ~」
男たちは、しりもちをつきながら、必死で逃げていった。 私は、逃げる男たちの背中に向かって 「二度と鳥を苛めるな!」と叫んだ。
「鶴さん、さすがです」
鳥たちは集まってきて、私を讃えた。やっぱり私は日本一ね。 すると、湖の方からも拍手が聞こえた。 振り返ると、魚たちがいっせいに顔を出していた。
「鶴さん、お見事でした。実は私たち魚も、人間にひどい目に合わされているんですよ。鶴さん、どうか我々のかたきも取ってください」
鳥も魚も入り乱れての拍手喝采を浴びて、悪い気はしない。 だけど、湖に映った私の姿は、気高く優雅な鶴とはまるで違っていた。
「みんなの幸せのためなら、まあいいか」
私は、口にくわえた魚を、そっと湖に返した。
***********おわり
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3月1日(土)05:30 | トラックバック(0) | コメント(0) | レジャー・旅行 | 管理
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