顔を見てしまったら、憎めないのな |
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| 奇跡のリンゴ 「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録
石川拓治著
P153~154
「あのさ、虫取りをしながら、ふとこいつはどんな顔をしているんだろうと思ったの。それで家から虫眼鏡を持ってきて、手に取った虫の顔をよく見てやったんだ。そしたら、これがさ、ものすごくかわいい顔をしてるんだ。あれをつぶらな瞳って言うのかな、大きな目でじっとこっち見てるの。顔を見てしまったら、憎めないのな。私もバカだから、なんだか殺せなくなって葉っぱにもどしてやりました。私にとっては憎っくき敵なのにな。だけどさ、害虫だと思っていたのに、よく見たらかわいい顔しているんだからな。自然って面白いもんだと思って、今度は益虫の顔を見てみたわけ。害虫を食べてくれるありがたい虫だよな。ところが、これが恐い顔してるの。クサカゲロウなんてさ、まるで映画に出てくる怪獣みたいな顔してるんだよ。ああそうなんだと、人間は自分の都合で害虫だの益虫だの言ってるけど、葉を食べる毛虫は草食動物だから平和な顔してる。その虫を食べる益虫は肉食獣だものな、どうもうな顔してるのも当たり前だよ。
こんなに毎日虫取りしてたのに、虫のことを何もしらなかったわけだ。 ~
ほんとに虫の世界は不思議だよ。たとえば、木の幹に産み付けられる害虫の卵は、木の幹の色をしている。保護色なわけだ。これがだいたい直径五ミリの塊なんだけど、そのひとつの塊に五十個の卵が並んでいる。それでさ、その卵の塊から十センチくらい離れたところに、別の卵が二個生んであるの。これがテントウ虫の卵なわけ。
害虫が孵化するのを益虫が待っているわけだよな。ところが害虫のほうもただ食べられるわけじゃない。五十個の卵は、いっぺんに孵化しないの。まず半分が孵化して、リンゴの葉っぱを食べに向かう。それでその半分の虫が一センチくらいの大きさに育ったころ、残りの半分が孵化する。テントウ虫はちょうどそのタイミングで孵化するの。かえったばかりで自分も小さいから、後からかえった半分の害虫を食べて育つのな。先にかえった半分は、その間に葉っぱをどんどん食べて大きくなって生き延びる。
つまり後からかえった半分は、テントウムシに食われるために生まれてくる。先にかえった半分を生き延びさせるために、犠牲になるために生まれてくるわけだよな。あれ見たら、びっくりするよ。虫たちは、どんな世界に生きているんだろうとな。こんなプログラムをだれが組んだんだろうと、ものすごく不思議な気持ちになった。私つくづくさ、自然というのは何とよくできたものだろうと思いました。大げさかもしれないけど、地球があるのもこの小さな虫たちのおかげじゃないのかなってな。」
自然の中には、害虫も益虫もいない。木村はその当たり前の真理に気づいたのだ。
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自然には 奇跡があふれているね。 (^.^)
家のたまも いたずら(マーキングとか)ばっかりするけど顔みたらにくめないのね。
主人は猫きらいだけど いつのまにか スケッチしてました。
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9月2日(月)06:56 | トラックバック(0) | コメント(0) | 家庭菜園 | 管理
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