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2013年9月18日を表示

「これは川ではない滝である」

日本の国土のうち70%は山であるということは昔学校で習いました。

「これは川ではない滝である」と外国の人が日本の川をみて言ったということも 山が多い日本で 平野に山がせまっているし 川もそのような意味だろうとなんとなく納得していましたが その発言時の川が富山県の川で 発言者は明治政府がオランダから技術者として呼んでいたデ・レイケという人だとあるサイトに書いてあったので 興味がわきました。
どこの川だろう?図書館検索で借りて読みました。
 
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したがって、滝があると河川の流速は小さくなり、流速が小さくなると洪水の破壊力は小さくなる。大きな土石を流下させたり、堤防を決壊させたりする力が弱まり、河川の災害は少なくなるのである。

この二つの理由から「小滝群」か「滝・瀑布」がある河川は災害を受けにくいといえる。そこでデ・レイケは視察のとおり、常願寺川を上流へとさかのぼりながら「滝」を探したのである。そして、やっと支川の称名川で滝を見つけた。

「・・・室堂から流れる支川の一つ称名川にだけあった。私は滝(ウォーターフォール)を一つ見つけた。この称名川の源流は、常願寺川のすべての支川のなかでいちばん標高が高く、また、多数の『火山噴気孔』があって、荒れ狂う『硫黄谷』が室堂よりすこし下流に沿ってあるにもかかわらず、(称名川の支川のなかで)もっともトラブルの少ない河川である」とメモしている。

彼の見た滝は四段に別れて豪快に三百五十㍍落下し、雪解け時になると左岸側に五百㍍のハンノキ滝も出現する、有名な称名滝だった。称名川の下流は、この滝のおかげで、位置のエネルギーが殺されているし、滝から下流の河川勾配が緩(ゆる)くなっているので災害をまったく受けていなかった、と記したのである。

デ・レイケは同行者に「滝があったね」(アイ・ファインド・ア・フォール)と言った。

英語では川の流れのようすを、「大きな滝」(カタラクト)「滝・瀑布」(ウォーターフォール)「階段状に連続した滝=小滝群」(カスケード)「奔流」(トウレン)「大洪水」(デリユージ)などの用語で区別して表現しているが、これはオランダ語でもフランス語でも同じである。

ところが日本では 古来 それらを「たき」という一つの語で表現していたという。高いところから水が落ちるさまも、斜面を激しい勢いで水が流れるさまも、同じ「たき」で表現していたのである。この表現の差は、ヨーロッパと日本の民族・文化の差ともいえよう。

デ・レイケは常願寺川の流れが滝のように急流であることに驚いたのではない。滝があるかないかに関心があり、あったことにホッとしたものと思われる。このとき、彼が使った英語の「ウォーターフォール」を、通訳は「たき」と訳したことだろう。高田技師以外の同行者は物理学の知識がないから、デ・レイケの関心が滝によるエネルギーの損失にあることなど、おそらくわからなかったにちがいない。

デ・レイケが「たき」といったそのことばがつぎつぎと伝えられ、「川の瀬の傾斜の急なところを勢いよく流れる水、「奔流」(ほんりゅう)という意味の古い日本語の「たき」の連想と重なりあって、デ・レイケが「これは川ではない滝である」といった、ということになったのではなかろうか。

市川紀一氏が高田家で発見した文書の中には、つぎのようなものもある。それは、この大災害の復旧は大工事になるので県が施工するには技術者と資金が不足するため、内務省直轄事業としてもらうように、富山県知事が内務大臣に上申したときのものと思われる文書で、それには、

「・・・七十有余ノ河川皆極メテ暴流ニシテ、山ヲ出テ海ニ入ル間、長キハ六七里、短キハ二三里ニスキ(ギ)ヌ。川ト云ハンヨリハ寧(むし)ロ瀑ト称スルヲ充当トスヘ(ベ)シ・・・」

という一文が記されている。「瀑」のような急流の河川だから破堤などによる災害が多く起こるので、国の直轄事業にしてほしいといっているのである。

常願寺川の災害が大きくなる原因を、デ・レイケは「『滝』が無いから位置のエネルギー損失が少なく、そのうえ河床勾配も急なので河川の流速が大きくなることにあるのだ」と科学的に説明した。これに対して、富山県の職員は「滝のような急流に原因があるのだ」と情緒的に表現している。

「これは川ではない滝である」と言ったのは、デ・レイケではなく富山県の職員だった。しかし、権威のあるデ・レイケが「滝」の話をしたことから、いつしかデ・レイケがそう言ったというエピソードにかわっていったのだろう。

日本の川を甦らせた技師デ・レイケ  上林好之 (P277~279)

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そんな日本は山岳国家なんだそうですね。
日本は島国だと昔から言われているけど山岳国家ということばは知らなかったです。

「日本は島国」ではなくて 「日本は山岳国家」ということばがもっと 身近にあったなら 
山岳国家なんだから もっと里山と共存しようとか、山をあれほうだいにしないで 水を豊富にはぐくんでくれる雑木林をふやそうとか、自分のような普通の人でも もっと 自分のことのように考えたのではないかなと思いました。



9月18日(水)07:25 | トラックバック(0) | コメント(0) | 緩速ろ過 | 管理


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